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歯列矯正中のMFT(口腔筋機能療法)の効果を力説!

「矯正が終わったのに、歯並びが戻ってしまった…」
「矯正中に噛み合わせが悪くなってきた気がする…」

そんなお悩みを抱えている方、あるいはこれから矯正治療を考えている方も多いのではないでしょうか?

実は、歯列矯正治療が成功するかどうかは、腕の良いドクターにかかれば安心、というわけではありません。自然で美しい口元を目指すなら「MFT(口腔筋機能療法)」が欠かせないのです。

私は、25年以上にわたり歯列矯正に携わり、裏側矯正を専門とするドクターとして、多くの患者さんの治療に関わってきました。その経験から確信を持って言えることがあります。それは、患者さん自身が「MFT」の重要性を理解し、日々のトレーニングを欠かさないことが極めて重要だということです。

矯正歯科医の中には、MFT(口腔筋機能療法)を軽視するケースも少なくありません。しかし、噛み合わせが整っても、その状態を長期間キープするためには、口腔筋の使い方や癖をしっかりと改善しなければ意味がないのです。

本記事では、MFTの基礎から、矯正治療における効果、実践すべきトレーニング方法までを徹底解説します。「矯正治療中だけど、MFTって本当に必要なの?」「MFTって具体的に何をすればいいの?」そんな疑問を持っている方にとって、必見の内容となっています。ぜひ最後までお読みいただき、理想の歯並びを手に入れるためのヒントを掴んでください。

MFT(口腔筋機能療法)とは?

鏡を見つめて考えている女性

歯列矯正と聞くと、ワイヤーやマウスピースを使って歯を動かすことばかりを思い浮かべるかもしれません。また、腕の良い矯正歯科医に任せれば、大丈夫だろうと考えがちです。しかし、矯正治療を成功させ、美しい歯並びをキープするためには「口腔筋機能療法(MFT)」を患者さん自身が理解することが欠かせません

MFTとは、「Myofunctional Therapy」の略で、日本語では「口腔筋機能療法」と呼ばれます。主に舌や口周りの筋肉を正しく使うためのトレーニングであり、これを行うことで口腔筋のバランスを整え、正しい舌や唇の使い方を身につけることができます

矯正治療においてMFTが重要視されるのは、歯並びが崩れる原因が筋肉の使い方にあるからです。歯並びが乱れる原因として「舌で歯を押す癖」や「唇の閉じる力が弱い」ことが多く挙げられますが、これらの悪習慣が続くと、せっかく整えた歯並びが再び崩れてしまうリスクが高まります。

また、矯正治療中に「噛み合わせが不安定になる」「歯が動きにくくなる」といった問題が生じることもありますが、その多くは筋肉の使い方が悪いためです。MFTを取り入れることで、噛み合わせが安定しやすくなり、治療がスムーズに進む効果が期待できるのですね。

MFTの効果

MFTをしっかりと実践することで、以下のような効果が得られます。

噛み合わせの安定

舌が正しい位置にあることで、上下の歯が自然に噛み合うようになり、治療後の安定性が向上します。特に、舌癖があると噛み合わせがズレやすくなるため、その改善が重要です。

舌癖の改善

矯正治療中に舌で前歯を押す癖があると、歯が前方に動き、矯正計画が狂ってしまいます。MFTを通じて正しい舌の位置を覚えることで、こうした癖を根本から改善できます。

顔全体のバランスが良くなる

口周りの筋肉が正しく機能することで、頬や顎のラインが引き締まり、顔全体のバランスが整う効果もあります。特に唇の力が弱いと、口元が緩んで顔がたるんで見えることがあるため、唇周りのトレーニングも大切です。

呼吸がスムーズになる

MFTを実践することで、鼻呼吸がしやすくなる効果も期待できます。舌が上顎にしっかりと収まることで、口呼吸から鼻呼吸に切り替わり、健康面でも大きなメリットがあります。

MFTが必要な理由|矯正後に後戻りしないために

MFTを実践している女性

歯列矯正は、歯を正しい位置に動かすことで、美しい歯並びと機能的な噛み合わせを実現する治療です。しかし、歯の位置を整えただけでは、長期的な安定が得られないという事実をご存じでしょうか?

多くの患者さんが矯正後に感じる不安の一つに、「矯正が終わったのに歯並びが戻ってしまった」というケースがあります。実際、矯正が終わった直後はきれいに整っていても、数年後に前歯が重なり合ってしまったり、噛み合わせがズレてしまうという問題が起こることがあるのです。

矯正だけでは不十分な理由

このような矯正後の後戻りや噛み合わせのズレが起こる原因は、筋肉のクセが解消されていないためです。矯正治療では、ワイヤーやマウスピースで物理的に歯を動かしますが、歯を支える筋肉が正しく機能していないと、筋肉が元の位置に戻そうと力をかけてしまいます。

そのため、矯正が完了しても、筋肉が「元の位置に戻せ」と指示を出している状態では、せっかく整えた歯並びが崩れるリスクが高まります。

MFTがないと起こりがちな失敗例

MFTの重要性を理解せず軽視すると、よくない結果をもたらす可能性があります。公にされないことも多いのですが、すでに失敗事例があるのでご紹介しましょう。

矯正後の後戻り

矯正が完了した後も、舌で前歯を押す癖や唇の力が弱いままだと、歯が徐々に前に押し出されてしまうことがあります。特に下顎前突や開咬(上下の歯が噛み合わない状態)は、MFTを行わないことで後戻りしやすくなります

噛み合わせのズレが解消しない

歯並びが整っても、筋肉のバランスが崩れていると噛み合わせが不安定になります。たとえば、片方だけで噛む癖や舌の正しい位置が保てない場合、せっかく整えた噛み合わせが再びズレてしまうことがあるのです。

正しい舌の位置が保てない

矯正後、舌が正しいポジションにないと、前歯が外側へ押されて出っ歯になるリスクがあります。MFTを行うことで、上顎のスポットに舌を置く習慣が身につき、歯並びを安定させる効果が期待できます。

成功例:MFTを併用して矯正が安定したケース

実際に、当院でもMFTを取り入れた患者さんの中には、矯正後もきれいな歯並びが安定しているケースが多く見受けられます。特に舌癖や唇の使い方を徹底的に改善した結果、長期間にわたって噛み合わせが安定し、後戻りが見られない症例が数多くあります

また、矯正中にMFTを取り入れた患者さんは、治療がスムーズに進むというメリットもあります。歯が正しい位置に動きやすくなり、矯正終了後も理想的な口腔環境が維持されやすくなるのです。

MFTで改善できるトラブルとは?

歯列矯正治療について、友だちに相談している

矯正治療が無事に終わっても、舌癖や口呼吸が残っていると、せっかく整えた歯並びが崩れてしまうことがあります。実際、矯正治療の後に前歯が突出してきたり、顎が後退してしまったりするケースが少なくありません。

これらのトラブルを防ぐためには、MFT(口腔筋機能療法)を取り入れて口腔筋の使い方を改善することが重要です。

ここでは、MFTで改善できる代表的なトラブルを解説していきます。

舌癖による前歯の突出

当院の事例ではありませんが、私が見聞きした事例で、矯正治療が完了したのに、前歯が再び突出してきたというトラブルが発生したということがありました。

その原因の多くは、舌で前歯を押す癖(舌癖)にあると考えられます。特に飲み込む際や無意識の状態で舌が前方に出てしまうと、前歯を前方へ押し出す力が働き、せっかく揃えた歯並びが崩れてしまうのです。

MFTでは、正しい舌の位置を意識しながらトレーニングを行い、上顎のスポットに舌を置く習慣を身につけることで、舌癖を改善できます。これにより、矯正後の歯並びの安定が得られ、前歯が突出するリスクを軽減できるのです。

口呼吸が続くことで顎が後退する

普段から口呼吸が続くと、下顎が後方へ下がり、顔全体のバランスが崩れてしまうことがあります。
特に子供の頃から口呼吸が習慣化していると、下顎が引っ込んだ状態で成長してしまい、噛み合わせが悪くなったり、口元がたるんで見えたりする原因となります。

口呼吸は歯並びを崩すだけでなく、健康面でも問題を引き起こすため、鼻呼吸への切り替えが必須です。MFTでは、鼻呼吸を習慣化するためのトレーニングを行い、呼吸パターンを正常化します。

これにより、下顎が自然な位置に収まりやすくなり、噛み合わせも整いやすくなるのですね。

唇の閉じ方が弱い

矯正治療後も、唇をきちんと閉じられない人は意外に多くいます。これは、唇の筋力が不足しているためであり、結果的に口呼吸が続いたり、歯列が崩れるリスクが高まります。また、唇の閉じ方が弱いと、食事中や会話中に口が開きがちになり、見た目にもだらしなく映ってしまうこともあります。

MFTでは、唇を正しく閉じる筋肉(口輪筋)を鍛えるトレーニングを行います。たとえば、唇を強くすぼめて10秒キープするなど、日常的にできる簡単なトレーニングを取り入れることで、自然に唇を閉じられるようになり、口呼吸から鼻呼吸へ移行しやすくなるのです。

矯正中におすすめのMFTトレーニング方法

MFTトレーニング

矯正治療を成功させるためには、日常的なトレーニングが欠かせません。特に、舌や唇、頬の筋肉を正しく使うことが、矯正後の安定に大きく影響します。ここでは、矯正治療中にぜひ取り入れてほしいMFT(口腔筋機能療法)のトレーニング方法を紹介します。

舌の正しい位置を覚えるトレーニング

舌が前歯を押し出してしまう「舌癖」を改善するには、正しい舌の位置を覚えることが重要です。
舌は本来、上顎のスポット(上の前歯の少し後ろ)に軽くついているのが正しい位置です。

やり方:

  1. 上の前歯の付け根の少し後ろに、舌先を軽く当てる。
  2. 舌全体が上顎に吸いつくように意識する。
  3. この状態で、鼻呼吸を行いながら、5~10秒キープする。
  4. 1日に数回繰り返す。

このトレーニングを続けることで、自然に舌が正しい位置に収まるようになり、舌で前歯を押す癖が改善されます。

口唇筋トレーニング

唇の筋力が弱いと、口が自然に開いてしまい、口呼吸が続く原因になります。そこで、口唇筋(口の周りの筋肉)を鍛えるトレーニングを実施しましょう。

やり方:

  1. 唇をすぼめて、「お」の形をしっかり作る。
  2. その状態を10秒間キープ。
  3. ゆっくりと口を戻し、リラックスする。
  4. これを1セットとして5~10回繰り返す。

口唇筋を鍛えることで、唇が自然に閉じられるようになり、口呼吸から鼻呼吸に切り替わりやすくなります。

頬の筋肉を鍛えるエクササイズ

頬の筋力が不足していると、口周りがたるんで見えるだけでなく、噛む力が弱まり、噛み合わせが不安定になるリスクがあります。

やり方:

  1. 口を閉じたまま、左右の頬を交互にふくらませる。
  2. ふくらませた状態を5秒間キープ。
  3. 次に、口角をしっかりと上げる(笑顔を作るイメージ)。
  4. そのまま5秒間キープしてリラックス。
  5. これを10セット繰り返す。

このトレーニングで、口周りの筋肉をバランスよく鍛えられるため、自然な笑顔と噛み合わせの安定が期待できます。

発音トレーニング

舌を正しく使うためには、発音のトレーニングが効果的です。特に「ラ」「タ」「サ」など、舌を使う発音が有効です。

やり方:

  1. 鏡を見ながら、「ラ」「タ」「サ」の発音をゆっくり繰り返す。
  2. 舌が正しい位置にあるか確認しながら行う。
  3. 発音をしながら、舌が上顎のスポットにしっかり触れているかを意識する。
  4. 1セット10回程度繰り返し、1日3セットを目安に続ける。

発音トレーニングを取り入れることで、舌の使い方が正しくなり、噛み合わせが整いやすくなります。

MFTを成功させるためのポイント

MFTを成功させるためのポイントについて

MFT(口腔筋機能療法)は、正しいやり方を習慣化することで、矯正治療の効果を最大限に引き出します。しかし、やり方を間違えたり、無理をしすぎると、逆に効果が出ないばかりかトラブルを引き起こす可能性もあります

ここでは、MFTを成功させるためのポイントを解説していきます。

トレーニングを習慣化するコツ

MFTのトレーニングは、毎日コツコツと続けることが大切です。一度に長時間やろうとせず、1回5分から10分でもOK。短時間でも毎日続けることで、筋肉が自然に使えるようになり、無意識下でも正しい舌や唇の動きが身についていきます。

効果的に習慣化するためには、日常生活にうまく取り入れるようにしてください。たとえば、朝の歯磨き後や寝る前のルーティンに組み込むと、忘れずに続けやすくなります。習慣になればしめたものです。

また、スマホのリマインダーやアラーム機能を使って「MFTトレーニングの時間」を決めるのも効果的です。

正しい指導を受ける

MFTの効果を高めるためには、専門家から正しい指導を受けることが不可欠。独学で始めると、自己流のやり方がかえって悪影響を及ぼすこともあるため、必ず矯正歯科医や歯科衛生士のサポートを受けましょう。

当院では、矯正治療を進めるうえでMFTを取り入れた指導を実施しており、舌の使い方や口唇筋トレーニングを専門スタッフが直接指導しています。自分一人では不安がある方や、効果が感じられない方は、遠慮なく相談してください。

やりすぎないことも重要

MFTに熱心に取り組むことは素晴らしいことですが、やりすぎは禁物です。過度なトレーニングは筋肉を疲労させ、逆に不自然な動きがクセになってしまうこともあります。特に、舌を強く押しつけすぎたり、無理に口をすぼめたりすると、本来の目的とは異なる不自然な筋肉の動きが習慣化してしまう危険性もあります

トレーニングの頻度としては、1日に数回を限度に、各トレーニングを1セット数分間行う程度で十分です。適度な負荷を心がけ、無理せず続けられる範囲で取り組むよう、心がけてください。

まとめ:MFTで矯正治療を成功させるために

MFTで矯正治療を成功させた女性

歯列矯正を成功させ、理想の歯並びを実現し、長期間維持するためには、MFT(口腔筋機能療法)を理解することが欠かせません。歯を動かす矯正治療だけでは、筋肉の使い方のクセがそのまま残っていると、後戻りしてしまうリスクが高まります。だからこそ、正しい筋肉の使い方を身につけ、歯を安定させる力をしっかり鍛えることが重要なのです。

MFTを取り入れることで、噛み合わせが安定しやすくなり、矯正後のトラブルも減少します。また、正しい舌の位置や口周りの筋肉を意識することで、自然な呼吸や口元の美しさも手に入れることができます。そのためには、専門的な指導を受けながら、無理のない範囲でトレーニングを習慣化することが大切です。

歯列矯正とMFTの二本柱で、噛み合わせや歯並びをしっかり支える力を育てていきましょう。矯正治療を成功させ、美しい口元と健康な噛み合わせを長く維持できるよう、今日から少しずつ取り組んでみてください。

執筆・編集:竹田 彰

大宮の裏側矯正専門セレーノ矯正歯科の院長、竹田です。25年以上にわたって裏側矯正を専門に治療してきました。歯並びを整えることはもちろんですが、それ以上に、顔全体のバランスを美しく保ちながら、自然な笑顔を引き出すことを信念にしています。