「裏側矯正って上下やると高そう…」
「予算オーバーしたらどうしよう…」
「費用が心配で矯正に踏み切れない…」
見た目をほとんど気にせず矯正できる裏側矯正に魅力を感じながらも、特に費用面は気になるところですよね。
私がこれまで診てきた多くの患者さんも、最初は同じような不安を抱えていました。しかし、矯正技術やメリットなどの理解を通して、具体的な費用を知ることで「思ったより現実的だった」と感じる方が少なくありません。
埼玉県にある当院「セレーノ矯正歯科」は2008年に開院した裏側矯正専門の医院で、ここで私は数多くの治療に携わってきました。今回は当院の院長という立場で、上下の裏側矯正にかかる費用についてお話しします。
現実的な費用と、その金額に差が生まれる理由を包み隠さず説明すると共に、実際に治療を受けられた方の費用例までご紹介していきます。
あなたが抱える費用面での不安を解消し、裏側矯正の治療に向けて歩み始めるお手伝いができれば幸いです。
も く じ
Toggle裏側矯正「上下」の費用相場いくら?

上下の裏側矯正にかかる費用は「100万~150万円」がおおよその相場です。後ほど詳しく解説しますが、金額に幅があるのは、患者さんの症例の複雑さや使用する装置の種類、治療期間などによって大きく変わるためです。
医院によって異なりますが、一般的に軽度の歯並びの乱れであれば100万円強、重度の不正咬合や抜歯を伴うケースでは150万円を超える場合もあります。
金額だけを見ると確かに高額ですが、この裏側矯正には他の方法にはない独自のメリットが多いため、費用対効果をしっかり理解した上で総合的に判断しましょう。
他の矯正方法と費用対効果を比較する
費用目安 | メリット | デメリット |
---|---|---|
裏側矯正 100万~150万円 | ・治療中も見た目が気になりにくい ・対応できる症例の幅が広い ・歯の表面を傷つけにくい ・唇や口の中を傷つけにくい ・装置により舌の癖を治しやすい | ・特に治療初期は違和感がある ・実績豊富な専門医院が限られる |
表側矯正 60万~130万円 | ・歯科医院の選択肢が多い ・対応できる症例の幅が広い ・矯正装置の調整がしやすい | ・金属の矯正装置が目立つ ・特に治療初期は違和感がある ・装置の突起で口内炎ができやすい ・治療中に口ゴボになる方もいる |
マウスピース矯正 80万~120万円 | ・透明で目立ちにくい ・痛みや違和感が少ない | ・適応できる症例が限られる ・患者さん自身の管理が必須 ・治療期間が長期化する場合がある |
※メリットデメリットの感じ方には個人差があります
費用だけを見れば「表側矯正」が安価に思えますが、治療中にワイヤーやブラケットが見えることで、人前で自信が持てなくなる方も少なくありません。人目を気にしない方は問題ありませんが、接客業や営業職など、人と接する機会が多い職業の方にとって、これは大きなデメリットになるでしょう。
一方、「マウスピース矯正」は目立ちにくいものの、1日20時間以上の装着が必要で、食事のたびに外す手間や紛失のリスクがあります。また、複雑な歯並びの場合や装着時間を守れない場合、計画通りに歯が動きにくいことも理解しておくべきでしょう。
治療期間中、見た目のストレスを回避
25年以上の経験を振り返ると、裏側矯正と表側矯正で悩む方が多いですが、考えていただきたいのは「矯正治療の期間」です。装置の装着期間が1年半~3年ほど、その後の保定期間も同じく1年半~3年ほどかかるため、長期間にわたって治療が続きます。
この長い期間を、見た目のストレスを感じながら過ごすのか、それとも周囲の目を気にせずできるだけ自然に過ごすのか。あなたはどちらを選択しますか?
どの矯正方法も高い費用はかかりますが、長い将来にわたって美しい口元と健康的な歯並びの実現につながることを考えれば、価値のある投資の1つといえるでしょう。
上下の裏側矯正費用に差がでる要因5つ

同じ上下の裏側矯正でも、100万円ほどで済む方もいれば150万円かかる方もいるのは、これから解説する5つの要因が大きく影響しています。
費用の仕組みを理解することは、後悔のない医院選びにもつながるため、具体的にどのような要因で差が出るのか、それぞれ詳しく見ていきましょう。
各歯科医院による料金設定の違い
上下の裏側矯正費用は、歯科医院によって大幅に異なります。まず、矯正治療は自由診療のため、各医院が独自に料金を設定できるからです。
たとえ同じような症例であっても医院によって数十万円以上の差が出ることも珍しくありません。この差は単純に「高い=良い」「安い=悪い」というわけではなく、以下のような違いから生まれています。
- 立地条件:主要都市部はテナント料が高いため費用に反映される傾向
- 設備投資の度合い:最新機器を導入している医院は費用が高くなる傾向
- 歯科医師の経験年数と専門性:技術や実績に応じて高めに設定される傾向
- 治療に含まれるサービス内容:定期検診の回数や調整料の有無など
ただし、安すぎる料金設定の医院には注意が必要です。裏側矯正は高度な技術と経験が必要な治療法のため、極端に安い場合は「なぜその価格で提供できるのか?」をしっかり確認することをおすすめします。
使用する矯正装置の種類が異なる
上下の裏側矯正で使用する装置は、実は複数の種類があり、それぞれ費用が異なります。患者さんの歯並びや希望に合わせて、どの装置を選ぶかで費用は変わってくるのです。
装置の種類によって、精密さや快適性、治療期間に違いが生まれます。一般的に高品質な装置ほど患者さんの負担が少なく、より美しい仕上がりにつながりやすいですが、その分費用も高くなる傾向にあります。
ただし、どんな高品質な矯正装置であっても、歯科医師の技術が伴わなければ装置の性能を十分に活かすことはできません。くれぐれもこの点には要注意です。
症例の難易度による治療期間の違い
上下の裏側矯正費用は、患者さんの症例の複雑さによっても左右されます。軽度の歯並びの乱れであれば比較的短期間で治療が完了しますが、重度の不正咬合の場合などは長期間の治療が必要になります。
症例の難易度による費用のイメージは以下の通りです。
難易度 | 費用 | 治療期間 |
---|---|---|
軽度 | 100万~120万円 | 1年半~2年 |
中等度 | 120万~140万円 | 2年~2年半 |
重度 | 140万~150万円 | 2年半~3年 |
※医院により異なります。
当院では、現在の歯並びの状態を詳しく分析し、なぜその歯並びになったのかという根本原因まで徹底的に調べます。
そして、表面的な問題だけでなく、舌の悪癖や呼吸の仕方など、普段の生活習慣が与える歯並びへの影響も含めて総合的に判断することで、より正確な治療計画と明瞭な費用の見積もりをお出ししています。
症例が複雑な場合でも諦める必要はありません。裏側矯正では、特別な症例を除き、軽度から重度まで幅広い症例に対応できるので安心してください。
初期費用以外の追加費用の有無
上下の裏側矯正費用で見落としがちなのが「追加費用」です。医院によって料金システムが大きく異なるため、総額でいくらかかるのかを事前に確認することが重要になります。
参考までに、追加の可能性がある費用は以下の通りです。
- 抜歯費用
- 定期通院時の診察料と調整料
- 矯正装置の修理や交換費用
- 治療期間を延長する場合の料金
- 保定装置(リテーナー)の別途費用
ここで注意点ですが、安価な矯正治療の場合、表示されている費用は基本料金のみで、実際には後から様々な費用が追加されることがあります。
「最初は120万円と聞いていたのに、結局150万円かかった…」という方もいるため、契約前に最終的な総額と追加費用発生の有無をしっかり確認しておきましょう。
当院では、技術にも費用にも納得して治療を受けていただくためにも、考えられる追加費用も含めて透明性のある料金説明を心がけています。
デンタルローンによる金利負担の有無
上下の裏側矯正は高額な治療のため、多くの方がデンタルローンを利用されています。一般的に最大120回まで分割が可能ですが、返済期間によっては支払総額に大きな差が発生するため、契約前の慎重なシミュレーションが必要です。
参考に、矯正費用120万円の返済例(概算)は以下の通りです。
返済回数 | 毎月の支払額 | 支払総額 | 金利負担 |
---|---|---|---|
24回 | 約52,000円 | 約125万円 | 約5万円 |
36回 | 約35,000円 | 約127.3万円 | 約7.3万円 |
60回 | 約22,000円 | 約132.2万円 | 約12.2万円 |
84回 | 約16,000円 | 約137.3万円 | 約17.3万円 |
120回 | 約12,000円 | 約145.1万円 | 約25.1万円 |
※ローン条件:金利3.9%・ボーナス払いなし
※初回支払い時は調整のため多くなる場合あり
このように、返済回数を増やすことで毎月の負担は軽くなりますが、支払総額は増える仕組みになっています。毎月の支払額と支払総額のバランスを考えて、あなたの経済状況に最も適した返済プランを選ぶことが重要です。
歯列矯正は将来への大切な投資ですが、現実的で無理のない返済計画を立てることが、治療に専念できる環境には不可欠といえます。
以上、上下の裏側矯正費用に差が出る5つの要因について詳しく解説しました。費用の仕組みを正しく把握し、納得のいく矯正治療を検討してみて下さい。
裏側矯正に興味をお持ちの方にとって、実際の治療がどのような流れで進むのかを事前に把握しておくことはとても重要です。治療開始から完了までの具体的なステップや、各段階でのポイントについて詳しく知りたい方には、下記の記事が参考になります。
実際に上下の裏側矯正を受けた方の費用

上下の裏側矯正費用について、当院での症例をご紹介します。患者さんの症状や治療内容によって費用は大きく変わりますが、リアルな事例を知ることで、あなたの場合の費用がつかみやすくなるはずです。
当院で実際に矯正を受けられた方の費用を参考に、予算計画や治療期間のイメージをつかんでいただければと思います。
「ガタガタ歯/八重歯」の裏側矯正

主要症状 | 上下前歯のでこぼこ、上顎前歯の前突 |
診断名 | 叢生、上顎前突 |
治療期間 | 2年6ヶ月 |
上下費用(目安) | 110〜140万円(税別・検査代を除く) |
上下の前歯がガタガタに重なって生えている叢生(そうせい)と、上の前歯が前に出ている上顎前突(じょうがくぜんとつ)の症例を、裏側矯正で治療しました。
2年6ヶ月の治療期間を経て、裏側からの精密な歯の移動により、前歯部の重なりは解消され、上顎前歯の前突も改善しました。上下歯列ともに美しいアーチラインです。
また、横顔の写真からも口元の前突感が改善され、よりバランスの取れた側貌に変化していることが確認できます。
※矯正治療の結果には個人差があります。
「受け口」の裏側矯正

主要症状 | 受け口、下唇の突出 |
診断名 | 骨格性反対咬合 |
治療期間 | 2年4ヶ月 |
上下費用(目安) | 110〜140万円(税別・検査代を除く) |
つづいて、受け口と下唇の前方への突出が気になる骨格性反対咬合の症例を、裏側矯正で治療しました。
この症例では下顎の骨が前に出ている状態で、通常は外科手術も検討されるケースでしたが、十分な話し合いの結果、手術を行わずに矯正治療と筋機能療法(MFT)で改善を図りました。
治療後は前歯の咬み合わせが正常になり、下唇の突出も解消され、調和が取れた美しい口元になりました。横顔のラインも自然で美しいです。
当初は手術が必要と思われる受け口でしたが、裏側矯正と口腔機能の改善でここまでの治療結果を残せました。患者さんが頑張ってトレーニングに取り組み、その努力が実を結んだ症例です。
※矯正治療の結果には個人差があります。
以上、裏側矯正は、治療中の見た目に配慮した方法として多くの方に選ばれています。最終的に、綺麗な歯並びを手に入れた患者さんの笑顔を見るたび、私も大変嬉しくなります。
まとめ:費用より信頼できる医院選びを

上下の裏側矯正について、費用面から詳しく解説しましたが、いかがでしたか。くれぐれも、矯正治療で最も大切なのは費用の安さではなく「信頼できる医院・経験豊富な矯正歯科医」と出会うことです。
私が25年以上にわたって数多くの患者さんを診てきて痛感するのは、技術力の差が仕上がりに与える影響の大きさです。
特に裏側矯正は、高度な技術と豊富な経験が求められる治療法です。費用だけで選んでしまうと、期待した結果が得られなかったり、治療期間が大幅に延びるリスクがあります。
あなたの大切な時間とお金を無駄にしないためにも、医院選びは慎重に行いましょう。
矯正歯科選びで迷っている方、何件カウンセリングを受ければよいか知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。
裏側矯正の価値を理解しよう
人前に出るお仕事をされている方や、大切なイベントを控えている方にとって、治療中の見た目に配慮された裏側矯正は、理想の選択肢の1つです。
確かに費用は高額ですが、長い治療期間中の見た目のストレスを軽減し、人前で口元を気にせず過ごせることを考えれば、十分に価値のある投資だと私は考えています。デンタルローンを利用すれば、月々の負担も抑えられますので、上手に活用してみて下さい。
当院では、患者さん一人ひとりの症例を丁寧に分析し、美しい仕上がりを目指した治療を心がけています。綺麗な歯並びはあなたの人生をより豊かにしてくれる財産です。
もし費用の心配で諦めようとしていたら、一度は信頼できる矯正歯科医に相談してみて下さい。予算に応じた治療の選択肢があるかもしれません。さいたま市大宮区にある当院「セレーノ矯正歯科」でよければ、喜んでサポートさせていただきます。