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前歯だけのすきっ歯矯正は可能?費用・期間・注意点を徹底解説

「前歯のすきっ歯が気になって、笑うときに口元を隠してしまう」
「でも、全体矯正をするのはちょっと大げさだし、費用も時間もかかりそう…」

そんなお悩みを抱える方は、実はとても多いんです。私自身、これまで25年以上にわたって歯列矯正治療に携わり、1,000人以上の患者さんと向き合ってきました。前歯だけのすきっ歯で悩む方のご相談や治療も行っていますが、主に20〜30代の女性が中心です。

「すきっ歯=全体矯正が必要」と思われがちですが、実は症例によっては前歯だけの部分矯正で改善できるケースも少なくありません。ただし、部分矯正には向き不向きがあること、そして安易に選ぶと後悔することもあるという点は、専門医としてしっかりお伝えしておきたい部分です。

この記事では、前歯だけ矯正が可能なケースとそうでないケースをはじめ、部分矯正にかかる費用や治療期間の、「後戻り」や「噛み合わせ」などの注意点について、現場での豊富な経験をもとに、わかりやすく解説していきます。

「すきっ歯をなんとかしたいけど、大掛かりな治療は避けたい」という方こそ、ぜひ最後まで読んでみてください。

すきっ歯の前歯だけの部分矯正は可能か?

すきっ歯の前歯だけの部分矯正は可能か

「前歯のすきっ歯だけを治したいけれど、矯正って全部やらなきゃいけないの?」

そんな不安を抱える方にとって、前歯だけの部分矯正という選択肢は魅力的に映るはずです。結論から言えば、前歯のすきっ歯は、症例によっては部分矯正で改善できるケースがあります

ただし、誰でも可能なわけではありません。以下のような条件に当てはまる方が、前歯だけの矯正に適しています。

前歯の隙間が2〜5mm程度の場合

部分矯正で対応できるすき間の目安は、だいたい2mm〜5mmほど。この程度であれば、ワイヤー矯正やマウスピース矯正によって、前歯だけの動きで隙間を閉じることが可能です。

それ以上に大きなすき間がある場合は、奥歯の動きや全体のバランスも関係してくるため、全体矯正が必要になることもあります。

奥歯のかみ合わせに問題がない場合

部分矯正は、奥歯の噛み合わせ(咬合)を動かさないことが前提です。つまり、奥歯のかみ合わせがしっかりしていて、ズレや深い噛み合わせ、開咬(上下の歯が噛み合っていない)などの問題がない場合に限り、前歯だけの矯正が適応されやすくなります。

矯正は「歯の見た目」だけでなく、「かみ合わせのバランス」も大きく影響するため、専門的な判断が求められます。矯正歯科医の経験値や技術によって、判断に差が出る場合もあるので、信頼できる矯正歯科医に相談しましょう。

「見た目の改善」が主な目的の場合

前歯だけの矯正は、見た目を整えることに特化した治療といえます。「口元の印象を良くしたい」「笑ったときに見えるすきっ歯をなくしたい」といった審美的な要望であれば、部分矯正が適しているケースも多いです。

ただし、「見た目は良くなったけど、噛みにくくなった」「後戻りしてしまった」という声もゼロではないため、安易に見た目だけで判断しないことが大切です。

前歯だけ矯正の方法と装置の種類

前歯だけ矯正の方法と装置の種類

前歯のすきっ歯を矯正するには、「部分矯正(前歯のみ)」に対応した装置を使用します。大きく分けてワイヤー矯正(表側矯正・裏側矯正)マウスピース矯正の2つがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

ワイヤー矯正(部分矯正)

歯の表側または裏側にブラケット(固定装置)とワイヤーをつけて、前歯の位置を動かしていく方法です。

<メリット>

  • 適用範囲が広く、コントロール性が高い
     → 隙間の大きさや歯のねじれ、傾きも調整可能
  • 短期間で動かしやすい
     → 症例によっては数ヶ月で変化が見えることも
  • 裏側矯正にも対応できる
     → 表から見えにくくしたい人にも◎

<デメリット>

  • 見た目が気になる(表側の場合)
     → 金属の装置が目立つことも(※裏側矯正は目立ちません)
  • 慣れるまで違和感が強い
     → 特に裏側は舌に当たるため、口内炎の原因にも

マウスピース矯正(インビザラインGOなど)

透明なマウスピースを使って、少しずつ歯を動かしていく方法です。近年は「前歯だけ」の部分矯正に特化したインビザラインGOなどが人気を集めています。

<メリット>

  • 見た目が目立たない
     → 透明なので装着中でも気づかれにくい
  • 取り外し可能
     → 食事や歯磨きがしやすく、衛生的
  • 痛みが少ない傾向
     → 徐々に歯を動かすため、ワイヤーよりも優しい

<デメリット>

  • 自己管理が必要
     → 1日20時間以上の装着が原則で、外す時間が長いと効果が出にくい
  • 適応できる症例が限られる
     → 隙間の大きさや歯のねじれが大きいと対応不可の場合も

前歯のすきっ歯を治すには、「どの矯正手法が自分に合っているか」を見極めることが重要です。見た目・快適さ・効果の早さなど、何を優先したいかによって選ぶ手法は変わってきます。

前歯部分矯正の気になる費用と治療期間

前歯部分矯正の気になる費用と治療期間

前歯だけのすきっ歯矯正は、「部分矯正」として対応されることが多く、全体矯正に比べて費用も期間も抑えやすいのが特徴です。とはいえ、使う装置や症例の難易度によって差が出るため、事前にしっかり確認しておきたいポイントです。

部分矯正の費用相場は15万〜50万円程度

前歯のすきっ歯矯正では、自由診療の扱いとなるため、費用はクリニックごとに異なります。一般的な相場は以下のとおりです。

矯正方法費用の目安(税込)
ワイヤー矯正(表側・前歯のみ)約15万〜30万円
裏側矯正(前歯のみ)約25万〜50万円
マウスピース矯正(インビザラインGOなど)約25万〜40万円

※上記はあくまで目安で、初診料や調整料、保定装置(リテーナー)などが別途かかる場合もあります。

治療期間は平均3ヶ月〜1年程度

前歯だけの矯正は、動かす歯の本数が少なく、奥歯のかみ合わせに影響しない範囲で行うため、比較的短期間で終了することが多いです。

  • 隙間が2〜3mm程度であれば、約3〜6ヶ月ほど
  • 隙間が大きめだったり、ねじれ・傾きがある場合は約6ヶ月〜1年ほど

装置によっても期間は変わります。マウスピース矯正はややゆるやかに動かすため、ワイヤーよりも時間がかかる傾向があります。

原則「自由診療」なので保険適用は難しい

すきっ歯や前歯の見た目が気になる場合でも、機能的な問題がなければ保険適用にはなりません。歯列矯正は多くのケースで自費診療のため、費用を確認した上でスタートすることが大切です。

ただし、以下のような特殊なケースでは保険適用になることもあります。

  • 顎変形症などで手術を伴う矯正治療
  • 嚙み合わせの異常が日常生活に支障をきたしている場合
  • 大学病院などの指定医療機関での治療

そのため、不安な方は一度矯正専門のクリニックで相談してみると良いでしょう。

前歯だけ矯正の注意点・リスク

前歯だけ矯正の注意点・リスク

前歯のすきっ歯を手軽に直したいと思っている方にとって、「部分矯正」は魅力的な選択肢といえるかもしれません。しかし、全ての人に適しているわけではないことも事実です。

効果的に治療を進めるためにも、あらかじめ知っておくべき注意点とリスクを押さえておきましょう。

奥歯の噛み合わせが乱れていると不向き

前歯だけの部分矯正は、あくまで軽度の歯列の乱れを整える治療です。そのため、奥歯のかみ合わせに問題がある場合、前歯だけを動かすと全体のバランスが崩れてしまう可能性があります。

例えば…

  • 上下の奥歯の位置がずれている
  • 噛んだときに前歯と奥歯の接触にズレがある

といったケースでは、全体矯正が必要になる可能性があるので、ご留意ください。「前歯だけ」と決めつけず、まずは専門医による咬合診断を受けることが大切です。

歯の動きが制限されることもある

部分矯正では、動かせる歯の本数や方向に制限があるため、「思っていたより隙間が閉じなかった」「前歯の角度や傾きが理想と違った」というように、期待に沿えない仕上がりになるケースもあります。

これは、奥歯や全体のアーチを動かせない制約があるためです。見た目だけでなく、歯の根の向きや骨との関係も考慮しなければなりません。

後戻りを防ぐためにはトレーニングが必須

すきっ歯は「元に戻りやすい」傾向があります。前歯の隙間を閉じても、そのまま放置すると元の位置に戻ってしまう(後戻り)ことが多いのです。

これを防ぐのが、MFT(口腔筋機能療法)などのトレーニング。たとえば、当院で行うMFTでは、こんなトレーニングを取り入れています。

  • 舌のポジションを覚える練習
    舌先を「スポット」と呼ばれる上あごの前方につける癖づけをします。これにより、舌で前歯を押してしまう「舌癖(ぜつへき)」を改善します。
  • リップ・クローズ(唇を閉じる)トレーニング
    普段から口が開きやすい方に対して、唇をしっかり閉じる力をつける練習。これにより、口呼吸や唇のだらけ癖を防ぎ、歯の位置が安定しやすくなります。
  • 飲み込みの再学習(スワロートトレーニング)
    飲み込む時に舌で歯を押してしまう癖を改善し、舌圧のバランスを整えることで、前歯の後戻りを防ぎます。
  • 発音トレーニング(ラ・サ・タ行)
    舌を正しい位置に保ちながら発音することで、日常会話でも自然と良い舌の使い方が身につくようになります。

また、「保定装置(リテーナー)」と呼ばれる透明のマウスピースやワイヤー型の装置を推奨するクリニックもありますが、当院では患者さん自身の長い人生を考えたとき、トレーニングを通して、良い習慣を作ることの方が大事だと思っています。

リテーナーを装着するだけでは、根本的な問題は改善されないからです。

前歯だけ矯正が向いている人・向いていない人

前歯だけ矯正が向いている人・向いていない人

「前歯だけ矯正」は手軽で費用も抑えられるため、気軽に検討される方が多いですが、すべてのケースに適しているわけではありません。ここでは、前歯だけの部分矯正が向いている人・向いていない人の違いについて詳しく解説します。

前歯だけの部分矯正が向いている人

すきっ歯(空隙歯列)の方

前歯の間に2〜5mm程度のすき間がある場合は、部分矯正で比較的短期間に改善できることが多いです。
見た目の印象が大きく変わるため、審美的な満足度も高い傾向にあります。

軽度のねじれや傾きが気になる方

1〜2本の歯が軽くねじれていたり、前に傾いていたりする場合、前歯のみの矯正で整えることが可能です。歯列全体のかみ合わせに大きな問題がなければ、部分矯正で十分対応できます。

一時的な見た目の改善で構わない方

かみ合わせや機能面よりも「見た目の印象を良くしたい」という目的であれば、前歯だけの矯正は費用・期間ともに現実的な選択肢です。就職活動・結婚式などのイベントを控えている方に選ばれることも多いです。

ただし、持続性という点で一考の余地があることはお伝えしてきた通りです。

前歯だけの部分矯正が向いていない人

噛み合わせに問題がある方

奥歯がしっかり噛み合っていない、上下の歯の位置関係にズレがある場合は、前歯だけを動かすとバランスが崩れる可能性があります。全体的なかみ合わせの調整が必要なため、部分矯正ではなく「全体矯正」が適しています。

顎のズレや骨格に原因がある場合

歯並びの乱れが骨格や顎の発育不全に起因している場合、部分矯正では根本的な解決ができません。たとえば、受け口(反対咬合)や出っ歯(上顎前突)などは、歯だけでなく骨格全体のバランスを整える必要があります。

自然で美しい仕上がりにこだわる方

症例の重度にもよりますが「美しく整った歯並び」を本気で目指す方や、「左右対称」「歯列全体のアーチ」を重視する方は、全体矯正のほうが満足度が高くなります。部分矯正は“できる範囲に限りがある”という点を理解したうえで検討してください。

まとめ|前歯だけのすきっ歯矯正は条件が合えば「賢い選択」

前歯だけのすきっ歯矯正は条件が合えば「賢い選択」

前歯のすきっ歯が気になる――そんな悩みを持つ方にとって、「前歯だけの部分矯正」は費用も期間も抑えられる、現実的な治療法ではあります。

ただし、全員に適応できるわけではありません。奥歯のかみ合わせや骨格のバランスに問題がある場合には、部分矯正では逆に仕上がりに不満が残ったり、後戻りのリスクが高まることもあるので、自身がどの程度の状態なのかは、専門の歯列矯正歯科医のカウンセリングを受けましょう。

大切なのは、自分の歯並びの状態を正確に診断してもらい、メリットだけでなくリスクも理解したうえで選択することです。

「ちょっとした見た目の悩みだけど、ずっと気になっていた」

そんな方は、前歯だけの矯正という手段を知っておくだけでも、選択肢が広がります。

まずは一度、カウンセリングを受けて、今の自分に最適な治療法を見つけてみてください。歯並びが整えば、笑顔にも自信が持てるようになりますよ。

執筆・編集:竹田 彰

大宮の裏側矯正専門セレーノ矯正歯科の院長、竹田です。25年以上にわたって裏側矯正を専門に治療してきました。歯並びを整えることはもちろんですが、それ以上に、顔全体のバランスを美しく保ちながら、自然な笑顔を引き出すことを信念にしています。

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大宮の裏側矯正専門セレーノ矯正歯科は、口ごぼ、出っ歯、すきっ歯など歯並びでお悩みの方のための目立たない歯列矯正を行っています。歯並びや噛み合わせだけではなく、健康的で美しい笑顔を目指しています。すべての調整はキャリア25年以上の院長が担当しますので、ご安心ください。歯を見せて思い切り笑顔になれる人生を選択しませんか?