「矯正治療を始めたいけれど、どのクリニックを選べばいいかわからない…」
そんなふうに悩んでいませんか?
矯正歯科を選ぶとき、費用や口コミ、通いやすさを基準にする方は多いですが「認定医がいるかどうか」も見逃してはいけない非常に重要なポイントです。
矯正治療は、単に歯並びを整えるだけでなく、噛み合わせや顔のバランスにも影響する高度な専門治療です。経験や技術の差が仕上がりに大きく関わるため、信頼できる歯科医のもとで治療を受けるかどうかで、結果に大きな差が出ます。
「認定医って何?」「一般の歯科医と何が違うの?」
「認定医のいるクリニックを選ぶと、どんなメリットがあるの?」
この記事では、歯列矯正に携わって25年の裏側矯正専門のドクター(日本矯正歯科学会認定医、および世界舌側矯正歯科学会認定医)が、安心してクリニック選びができるように「矯正歯科の認定医」について詳しく解説していきます。認定医の資格の違いや、クリニックを選ぶ際のチェックポイントについてもご紹介しますので、 「どこで矯正治療を受けるべきか」迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください!
も く じ
Toggle矯正歯科の「認定医」って何?一般の歯科医とどう違うの?

さて、矯正治療を検討する際に「認定医」という言葉を目にすることがあると思いますが、矯正歯科の認定医とは具体的にどのような資格なのかご存じでしょうか?
簡単にいうと、認定医とは、矯正治療に関する専門的な知識と経験を持ち、一定の基準を満たした歯科医師に与えられる資格です。矯正治療は一般的な虫歯治療とは異なり、歯の移動や噛み合わせのバランスを長期間にわたって管理する高度な技術が求められます。そのため、矯正治療の専門家としてのスキルを証明する資格が「認定医」なのです。
では、一般の歯科医と認定医にはどのような違いがあるのでしょうか?
一般の歯科医と認定医の違い
日本では、歯科医師の国家資格を取得すれば、誰でも矯正治療をすることができます。そのため、矯正専門ではない歯科医院でも矯正治療を行っているケースがあります。しかし、矯正治療は専門性が高く、正しい診断や治療計画なしに行うと、歯並びが悪化したり、噛み合わせのトラブルが発生するリスクが少なくありません。
一方、認定医は、一定の教育と実務経験を積み、専門機関が定めた厳しい基準をクリアした矯正歯科医に与えられる資格 です。歯並びをきれいにするだけでなく、噛み合わせや、顔の全体的なバランス、長期的な安定性を考慮しながら治療を進めるため、高度な技術と専門知識が求められます。
認定医を取得するための条件
たとえば、日本矯正歯科学会の認定医を取得するには、以下のような条件を満たす必要があります。
- 歯科大学卒業後、さらに矯正治療の専門教育を受ける
- 認定された研修機関で一定期間の臨床経験を積む
- 学会が定める厳しい試験に合格する
このように、認定医になるには、実は、長年の専門教育と厳しい審査をクリアする必要があり、それぞれの関門を突破して、はじめて矯正治療の専門家として認定されます。
認定医がいるクリニックを選ぶメリット

では、 認定医のいるクリニックを選ぶことで、どんなメリットがあるのでしょうか?
矯正治療は長期間にわたる医療行為だからこそ、「誰に治療を任せるか」は非常に重要になってきます。ここでは、矯正歯科医として25年の経験を踏まえて、認定医による治療がもたらす具体的なメリットについてまとめておきたいと思います。
正確な診断と治療計画が立てられる
矯正治療は歯並びを整えるだけにとどまらず、噛み合わせや顔のバランスを考慮した治療が必要です。たとえば、同じ「歯並びを整える」という目的でも、以下のような要素が患者ごとに異なります。
- 噛み合わせのズレ(オーバーバイト、オーバージェットなど)
- 顎の形や成長の影響(未成年の場合)
- 歯の移動による顔の変化(オートローテーションが起こるか、起こらないか)
認定医は、専門医としてひとり立ちする過程で、これらを総合的に判断し、患者さん一人ひとりに最適な治療計画を立てるスキルを持っています。また、治療前のシミュレーションを正確に行い、「どんな変化が起こるのか」を患者に分かりやすく説明できるのも、認定医ならではの強みといえるでしょう。
治療後の安定性が高い
矯正治療は「治療が終わったらそれで完了」ではありません。治療後の歯並びが長期間安定することが重要です。もし 治療後に歯が元の位置に戻ってしまう(後戻り)と、せっかくの矯正が台無しになってしまいます。
認定医は、後戻りを防ぐための知識と技術が豊富です。たとえば…
- 患者さんごとに異なる舌の癖を治すトレーニングを指導できる
- 適切なリテーナー(保定装置)の使用を指導できる
- 歯の動きや顎の成長を考慮した治療計画を立てられる
- 治療後のメンテナンス方法を詳しく説明できる
特に後戻りのリスクが高い症例(抜歯矯正、開咬、オートローテーションを伴う治療など)では、認定医による診断と管理が不可欠だと思います。
トラブル時の対応力が高い
矯正治療は、数年間にわたる治療プロセスの中で、予期しない問題が発生することがあります。
たとえば…
❌ 歯が計画通りに動かない
❌ 噛み合わせがずれてしまう
❌ 装置が外れる、壊れる
❌ 顎関節に負担がかかる
こうした問題が発生した際、認定医は幅広い症例を経験しているため、迅速かつ適切な対応が可能です。特に、以下のようなポイントを事前に確認しておくと、トラブル時も安心です。
難しい症例にも対応できる
矯正治療は患者さんごとに特徴が異なります。当然、すべての症例が簡単に治るわけではありません。特に、以下のような難しい症例においては、高度な診断力と治療技術が求められるでしょう。
- 抜歯が必要な矯正(スペースを作るための高度な歯の移動が必要)
- 顎のズレを伴う矯正(外科手術を併用するケースも)
- オートローテーションを利用した矯正(小顔を目指す症例)
- リカバリー矯正(過去に失敗した矯正をやり直す治療)
認定医とはいえ、ドクターにより、スキルの差があるのは否めません。しかし、認定であれば、これらの高度な治療に対しても、経験と技術を持っている可能性があるため、一般的な矯正歯科よりも高い精度で対応できる可能性が高いといえますす。
矯正治療のリスクをきちんと説明してくれる
矯正治療はメリットだけでなく、リスクやデメリットもあります。誠実な認定医のいるクリニックでは、治療のリスクや副作用についてもきちんと説明する傾向があります。
たとえば…
- 矯正治療中に起こる可能性のある痛みや違和感
- 歯根吸収(歯の根が短くなる現象)のリスク
- 指示を守れないと老け顔になるリスクが高まる
信頼できる認定医は、患者さんにとって、負担をかけるようなことであっても、必要であればきちんと説明してくれます。
※認定医=確実に上手いわけではない?クリニック選びの注意点
ここまで、認定医の重要性について解説しましたが、認定医だからといって、必ずしも治療が上手いとは限りません。
「認定医=技術がある」と思い込みがちですが、実際には資格を取得しても、日々の治療経験や技術向上に努めていなければ、実力に差が生まれることもあります。そのため、クリニックを選ぶ際には、認定医という資格の有無だけでなく、症例実績も確認することが大切です。
認定医がいるクリニックを選ぶ際のチェックポイント

「認定医がいるから安心!」と思ってクリニックを選ぶのは、ちょっと待ってください。認定医の資格を持っていても、実際の治療スキルや対応力には差があるため、他のポイントもチェックすることが重要なのです。
ここでは、矯正治療に携わり25年以上の私が、失敗しないクリニック選びのために、具体的にどんな点を確認すれば良いのか、私見をお伝えしますね。
認定医が実際に治療を担当しているか
認定医が在籍しているクリニックでも、実際の治療は別の歯科医師やスタッフが担当するケースもあります。特に、大手の矯正歯科や総合歯科では、治療の一部をアシスタントが行うことがあるため、「認定医がすべての処置を担当するのか?」を事前に確認することが大切です。
チェックポイント
- カウンセリングや治療計画説明をするのは、認定医本人か?
- 矯正装置の調整やワイヤー交換を認定医が行っているか?
- 途中経過の診断をきちんと行い、治療計画の修正ができるか?
クリニックの症例数や実績を確認
認定医の資格を持っていても、実際の症例経験が少なければ、難しいケースの対応が難しいこともあります。 特に、抜歯を伴う矯正や顎の骨格が関係する治療には、高度な技術が必要になります。私の専門分野である裏側矯正においては特にそうで、表側矯正やマウスピース矯正より、高度な技術や知識が求められます。WEB広告では症例を書けないケースもあるので一概にはいえませんが、クリニックの公式サイトやSNS、口コミを確認し、どのような症例に対応しているのかをチェックした方が良いでしょう。
チェックポイント
- 公式サイトに症例写真が掲載されているか?
- 似た症例の治療実績があるか?
- 治療後の安定性について言及しているか?
患者の協力が必要であることを伝えているか
矯正治療は歯科医だけで完結するものではありません。患者さんご自身の生活習慣の改善や、指示通りの装置管理・口腔ケア、トレーニングが、治療結果を大きく左右します。
しかし、一部のクリニックでは「はめるだけで」「誰でも手軽に」「装置をつけていれば大丈夫」といったイメージを強調し、患者の協力の重要性を十分に伝えないケースがあります。そうした、間違った情報に基づいて、矯正治療のみで完璧な顔の変化を求める方も稀にいますが、ドクターの技術だけでなく、患者自身の努力や協力が不可欠でることは、誠実な矯正歯科医であれば、誰もが伝えるはずです。
決して、苦しい治療であるというのではありません。ですが、ドクター任せで良い結果が得られるわけではないのは事実ですので、以下のチェックポイントをぜひ参考にしてください。
チェックポイント
- 「矯正治療には患者の協力が不可欠」と明言しているか?
- 舌の使い方や生活習慣の指導がしっかり行われているか?
- 治療中の注意点や、守るべきルールを明確に説明してくれるか?
- 「指示を守らないと治療がうまく進まない可能性がある」ことを伝えているか?
カウンセリング時の説明に十分な時間を割いているか
カウンセリングは、患者と歯科医の信頼関係を築く大切な時間であるだけではありません。上記でお伝えしたように、患者さんとの協力関係があってこそ、良い結果を生み出せる治療です。また、患者さんごとに症状や歯並びは全く違いますから、個別の対応が不可欠になります。しかし、クリニックによっては 「無料カウンセリング」として流れ作業のように行われ、詳細な説明がないこともあるようです。
特に、治療内容や費用に関する説明が曖昧なクリニックは要注意。矯正治療は数年にわたる大きな投資になるため、しっかりと納得した上で治療を始められるかどうかが大切です。
チェックポイント
- カウンセリングの時間は十分に確保されているか?(60分以上が理想)
- 治療の流れやリスク、個別の症状について、説明を受けられるか?
- 「すぐに契約を」と急かされないか?
まとめ:矯正歯科を選ぶなら、認定医のチェックを!

歯列矯正治療は長期間にわたる医療行為だからこそ、「どこで治療を受けるか?」よりも「誰に治療を任せるか?」が重要です。認定医は矯正治療の専門知識と高度な技術を持つプロフェッショナルですが、資格を持っているだけでは十分ではありません。
- 認定医が実際に治療を担当しているか?
- クリニックの症例数や実績は豊富か?
- 患者の協力が治療結果を左右することを、しっかり説明しているか?
- カウンセリングの時間を十分に確保しているか?
これらのポイントをしっかりチェックし「本当に信頼できる矯正歯科」を見極めることが、満足のいく矯正治療への第一歩です。矯正治療は、医師と患者の二人三脚で進める治療ですから、信頼できるドクターと適切なクリニックを選び、納得のいく矯正治療を受けられるように、ぜひこの記事を参考にしてください!