Scroll Top

裏側矯正で滑舌が悪くなるのか?その真実と、矯正中の注意点

「裏側矯正だと滑舌が悪くなるって聞いたけど…?」

裏側矯正を検討されている方の中には、こうした心配をお持ちの方がおられるかもしれません。矯正治療において、仕上がりの美しさに定評があり、矯正中も見た目を気にすることのない「裏側矯正」は魅力的な選択肢です。しかし、その一方で「話しにくくなるのでは?」「仕事でのプレゼンや電話対応に支障が出るのかな?」といった懸念を持たれる方が多いようです。

私自身、25年以上にわたり裏側矯正専門の矯正歯科医として数多くの患者さんの治療に携わってきました。その中でも、滑舌についての相談を受けることが少なくありません。ただし、これまでの経験から結論を申し上げると、滑舌への影響は一時的なものが大半で、適切なアプローチとトレーニングによって多くの患者さんがスムーズに乗り越えています

この記事では、裏側矯正が滑舌にどのような影響を与えるのか、なぜそのような変化が起こるのかを医学的な視点から解説します。また、滑舌への影響を最小限にするための具体的な方法や、実際の患者さんの体験談もご紹介。裏側矯正を検討中の方にとって、治療のメリットと注意点を正確に理解し、安心して決断していただける内容をお届けしたいと思います。

歯並びを整えることで得られるのは、美しい笑顔だけではありません。噛み合わせや口腔機能の改善、さらには健康全般へのポジティブな影響も期待できます。ぜひ最後までお読みいただき、裏側矯正の魅力とその真実を知ってください!

▼お急ぎの方は動画に概要をまとめましたのでご覧ください▼

滑舌に影響を与える裏側矯正の仕組みとは?

裏側矯正は、舌側矯正とも呼ばれる治療法で、歯の裏側に装置を取り付けることで、外見からはほとんど矯正していることがわからない点が大きな特徴です。矯正後の輪郭をイメージできるので、他の治療法と比べても仕上がりが美しく、自分らしいナチュラルさが出るという理由で、特に20-30代の女性から選ばれる機会が多くなりました。

ただ、装置を歯の裏側に設置するという特性上、舌の動きや発音に影響を及ぼす可能性があるのは事実です。その理由としては、以下の5つが考えられます。

1. 舌の動きが制限される

舌は、発音をする際に非常に重要な役割を担っています。日本人の不正咬合者のほとんどは下顔面が長いので、舌が正しい位置に収まっていません。つまり、舌を上あごに付けるように動かすことが苦手なのです。すると「サ行」「タ行」「ラ行」など舌を歯の裏側や上あごに当てて発音する音が不明瞭になります。裏側に装置があることで、さらに発音がしにくくなることがあります。

2. 装置の厚みが影響する

歯の裏側に取り付ける装置には、ワイヤーやブラケットなどの部品があり、これらが舌の動きを妨げることがあります。特に装着直後は、装置の感触に慣れるまで舌が思うように動かず、話しづらさを感じる方が多いです。

3. 舌の位置や感覚が変わる

装置の存在により、舌の位置が通常よりも後方に押されることがあります。これにより、発音時の舌の動きに違和感が生じ、慣れるまで滑舌が悪く感じることがあります。

4. 唾液量の増加

装置を装着した直後は、異物感から唾液が増える傾向があります。これにより口腔内が滑りやすくなり、一部の音が不明瞭に聞こえることもあります。

5. もともとの滑舌

歯並びというのはそもそも、滑舌に何らかの影響を与えますので、もともと滑舌が悪い方も多くおられます。裏側矯正により、さらに悪化したと感じられる場合がありますが、実際はほとんど変わりません。むしろ、矯正中のトレーニングや発声練習により、滑舌が改善することも多いのです。ちなみに、舌運動がもともと良好な方は裏側矯正装置をつけても発音は不明瞭になりません。

こうした影響は、矯正治療の初期に特に顕著ですが、多くの場合、1~2週間で慣れる方がほとんどです。このあとにお伝えする、トレーニングや注意点を抑えれば、数日で慣れてしまう方もいます。また、当然ですが、矯正装置の設計や矯正歯科医の技術によっても、滑舌への影響は大きく変わってきます。

裏側矯正中の滑舌への影響を最小限にする方法

裏側矯正中の滑舌への影響を軽減するためには、矯正専門医の指導を仰ぎ、そのアドバイスに忠実に従うことが最も重要です。もっともよくないのは、自己判断。ドクターの指導を基に行動すれば、滑舌はほとんど気にならなくなるでしょう。

矯正専門医の指導、アドバイスを最優先する

経験と実力のあるドクターであれば、理想的な歯列矯正のためには患者さんの協力が不可欠となるので、カウンセリング時や治療時に十分な説明があるはずです。専門医は、患者さん一人ひとりの状態に合わせたアプローチを提案してくれますので、受けた指導やアドバイスは、忠実に守ってください。

以下では、ごく一部ではありますが、専門医が滑舌の問題を改善するために行う細かな調整やよくある提案をご紹介しましょう。

  • 装置の状態を確認
    滑舌の問題は、装置の設置位置や形状が原因である場合があります。経験値の高い専門医は、治療の段階で装置を微調整し、舌への負担を軽減します。たとえば、装置が舌に当たりすぎている場合や、尖った部分が不快感を引き起こす可能性がある場合、これを未然に解消するために微細な調整が行われます。
  • 適切な発音練習方法の提案
    裏側矯正による話しづらさの改善は、ちょっとしたトレーニングで解消されることがほとんどです。患者さん一人一人、骨格や、舌の癖が違うので、アドバイスは多岐に渡りますが、舌の位置の修正やストレッチ運動、応用トレーニングなど、状況に応じたアドバイスを受けることで、効果的に問題を克服できます。

自己判断を避ける

今はネットを調べると、良い情報も信ぴょう性に乏しい情報も玉石混交です。滑舌が悪くなって、自己判断で情報を求めたり、対策を試みるのではなく、必ずドクターの指導を受けてから行動することが重要です。

  • 間違った練習はリスクになる
    自己流で発音練習を行うと、かえって舌の動きに負担をかけたり、正しい発音方法から遠ざかる場合があります。特に、誤ったトレーニングは長期的な滑舌の問題を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
  • 滑舌の改善が見られない場合は「やり方」に問題があるかも
    ドクターのアドバイス通りにトレーニングしているつもりでも、その「やり方」を誤ると効果が乏しくなります。ドクターは患者さん本人より、口の中や歯の状態、舌の動かし方を熟知しているので、言われたとおりの調整を心がけましょう。

裏側矯正に限りませんが、歯列矯正治療は患者さん一人ひとりに合わせたオーダーメイドのプロセスです。滑舌の問題についても、ドクターの指導やアドバイスに忠実に従うこと、最適な結果を得ることができるでしょう。

大宮の裏側矯正専門セレーノ矯正歯科

裏側矯正で滑舌が悪くなるのは極めて限定的!

ここまで、裏側矯正で滑舌が悪くなる可能性や、その影響を最小限にする話をしてきました。しかし、安心してください。冒頭てもお伝えしたように、裏側矯正による滑舌への影響は一時的なものがほとんどです。ここでは、患者さんの実際の体験談や、滑舌への影響が限定的である理由についてもう少し詳しく解説します。

埼玉大宮のセレーノ矯正歯科に通う患者さんの体験談

裏側矯正を経験した患者さんからは、さまざまな感想が寄せられています。特に初期の段階では滑舌に影響を感じる人もいますが、多くの場合、時間の経過とともに改善することがわかっています。

以下は実際に、私が運営する「セレーノ矯正歯科」の患者さんからいただいた滑舌に関する感想です。

  • 「最初は話しづらかったけれど慣れました」
    矯正を始めて数日は、サ行やタ行、ラ行が話しにくくて戸惑いました。でも、1週間ほどで舌が装置に慣れてきて、普通に話せるようになりました。(20代女性)
  • 「周りには滑舌が悪いとは気づかれなかった」
    自分では気にしてましたが、話すスピードを少しゆっくりにしたら問題なくなりました。職場でも誰にも気づかれずに治療を続けられています。
  • 「矯正を始めた直後だけ注意が必要」
    最初の数日間は舌が装置に触れて違和感がすごかったけれど、1週間もするとほとんど不便を感じませんでした。
裏側矯正の症例

滑舌への影響が限定的な理由

裏側矯正による滑舌の変化は、以下の理由から多くの場合一時的で、長期間な問題にはなりません。

  • 時間とともに舌が装置に慣れる
    矯正装置が舌に触れることで最初は違和感を覚えますが、人間の舌は非常に柔軟性が高く、数日から数週間のうちに新しい環境に適応します。その結果、発音への影響は徐々に減少します。
  • 適切な装置設計が滑舌をサポート
    裏側矯正用の装置は、舌の動きを妨げにくいよう設計されています。特に、経験豊富な矯正専門医が治療を担当する場合、装置の形状や装着位置が最適化されるため、滑舌への影響が最小限に抑えられます。
  • 舌の自然なリハビリ効果
    舌は装置に触れることで自然に動きを調整し、無意識のうちに発音しやすい状態を作り出します。この適応能力は非常に高く、多くの患者さんが装置を装着してから数日で「普通に話せる」と感じるようになります。
  • 効果的なトレーニング
    ごくまれに滑舌への影響が長引く可能性がありますが、このような場合でも矯正専門医の指導のもと、トレーニングを続ければ、問題ありません。当院でも、3週間以上気になるという患者さんは皆無です。患者さんの状況に応じた、発音練習を取り入れることでむしろ、矯正前よりも改善が見込めます。

裏側矯正による滑舌の問題は、患者さん一人ひとりの口腔状態や舌の動きに応じて異なりますが、多くの場合は一時的なものであり、治療の進行を妨げるほどの障害にはなりません。裏側矯正専門ドクターとしては、必要以上に心配することはないと断言します。

裏側矯正の症例

一部の矯正歯科医院では、滑舌が良くなる治療計画が可能

なお、一部の矯正歯科医院では、滑舌を向上させることを目指した治療計画を取り入れています。

たとえば、セレーノ矯正歯科では滑舌の良くない患者さんの場合「カウンタークロックワイズローテーション(オートローテーション)」を治療計画に組み込んでいます。この手法では、長すぎる下顔面を適切に調整し、舌が正しい位置(口蓋)に届きやすい環境を作ることで、「サ行」や「タ行」、「ラ行」といった音の発音が改善する傾向があります。

この治療法は、患者さんの骨格や歯列の状態を綿密に分析し、治療中に必要な調整を繰り返す高度なテクニックが求められるため、実施できるクリニックは限られています。ただし、技術のある専門医が担当すれば、裏側矯正による滑舌への影響を改善するだけでなく、矯正終了後の滑舌や発音の向上も期待できるでしょう。

裏側矯正を選ぶメリットと注意点

裏側矯正は、その特性から他の矯正治療にはない独自のメリットを持っています。ただし、一方で注意点もありますので、それらを正しく理解したうえで治療を選択することが重要です。

仕上がりが美しく、矯正中も見た目が気にならない

裏側矯正の最大のメリットは、目立たないことと思われがちですが、私としては仕上がりがもっとも美しい歯列矯正治療法であると考えています。詳細は別の記事に譲りますが、矯正終了後の姿をイメージしながら矯正できるので、他の治療法と比較しても、その人らしいナチュラルな美しさを引き出せるのです。美意識の高い若い女性に選ばれるのは、そういった理由もあるのでしょう。

以下、簡単にまとめます。

  • 「矯正中であることを隠したい」方に最適
    職場での対人コミュニケーションが多い方や、人前に立つ仕事をされている方には特に大きなメリットです。見た目を気にせず治療に専念できるため、仕事やプライベートでのストレスを軽減できます。
  • 自然な笑顔を維持
    表側矯正の装置では笑顔がぎこちなくなったり、口元を隠す仕草が増えたりすることがありますが、裏側矯正ならその心配はありません。自然な笑顔を保ちながら矯正治療を進められるのは大きな魅力です。

裏側矯正を選ぶ際の注意点

裏側矯正の滑舌への影響をお伝えしましたが、それは極めて限定的です。それよりも、仕上がりを美しくし、出来るだけ短期間で治療するには、患者さんの協力が欠かせません。つまり、ドクターの指導、アドバイスを忠実に守ることが重要になってきます。

どんなに腕のいい矯正歯科医でも、患者さんの協力が得られないのと望み通りの結果は得られません。滑舌の問題だけでなく、専門医は、患者さん一人ひとりの状態に合わせたアプローチを提案してくれますので、受けた指導やアドバイスは、忠実に守っていただければと思います。

まとめと結論

裏側矯正において「滑舌が悪くなるのでは?」と心配される方が多いのですが、その影響は一時的なものが大半で、適切なアプローチとトレーニングによって、実際に多くの患者さんがスムーズに乗り越えています。たしかに、装置の位置が舌に近いため、滑舌に影響を感じることがあるものの、ドクターの指導とアドバイスを仰げば、まったく気にする必要はありません。

裏側矯正は、見た目の美しさと機能性を兼ね備えた、素晴らしい歯列矯正治療法です。滑舌への影響はかんたんに乗り越えられる課題であり、その先には美しい歯並びと自信に満ちた笑顔が待っています。この記事を通じて、裏側矯正への不安が解消され、前向きに治療を進める一助となれば幸いです。

大宮の裏側矯正専門セレーノ矯正歯科

執筆・編集:竹田 彰

大宮の裏側矯正専門セレーノ矯正歯科の院長、竹田です。25年以上にわたって裏側矯正を専門に治療してきました。歯並びを整えることはもちろんですが、それ以上に、顔全体のバランスを美しく保ちながら、自然な笑顔を引き出すことを信念にしています。

更新情報

About

大宮の裏側矯正専門セレーノ矯正歯科は、口ごぼ、出っ歯、すきっ歯など歯並びでお悩みの方のための目立たない歯列矯正を行っています。歯並びや噛み合わせだけではなく、健康的で美しい笑顔を目指しています。すべての調整はキャリア25年以上の院長が担当しますので、ご安心ください。歯を見せて思い切り笑顔になれる人生を選択しませんか?