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裏側矯正は虫歯になりにくい?虫歯リスクを減らす5つの工夫も解説

「矯正中に虫歯になったらどうしよう」
「裏側矯正中は歯磨きが難しいのでは?」

そんな迷いを感じていませんか?表側矯正では装置が目立つことに抵抗があり、裏側矯正に興味を持っているものの、虫歯への心配で揺れている方も多いでしょう。

私はキャリア25年以上の裏側矯正専門の歯科医として、これまで多くの患者さんから同様の相談をいただいてきました。そこで今回は、裏側矯正と虫歯についての正しい情報をお伝えしたいと思います。

まず最初に、裏側矯正の虫歯リスクについて詳しく解説し、さらに安心して治療を進める日常ケアの工夫も解説していきます。

歯並びに悩みを抱えるお気持ちに寄り添い、あなたに合った選択ができるよう全力でサポートします!

▼お急ぎの方は動画に概要をまとめましたのでご覧ください▼

裏側矯正は虫歯になりにくいって本当なの?

裏側矯正は虫歯になりにくいのか疑問

個人差はありますが、裏側矯正は表側矯正と比べて虫歯になりにくい傾向があります。これは、多くの方が抱いている「見えにくいから日々のケアが難しそう」という不安とは正反対の事実でしょう。

私が長年にわたり矯正治療を行ってきた経験からも、この傾向を強く感じています。では、なぜ見えにくい裏側の装置のほうが虫歯リスクを抑えられるのでしょうか。

唾液の自浄作用が継続的に働きやすい

歯の裏側は常に唾液に包まれているため、唾液がもつ自浄効果と殺菌作用が継続的に働きやすい環境にあります。唾液には虫歯菌を洗い流したり、口の中のpHバランスを整えたりする重要な役割があるのです。

表側矯正では装置が空気に触れる時間が長く、唾液による自然な洗浄効果を受けにくい場合が多いです。特に口を開けて話したり笑ったりする時は、装置周りが乾燥しやすくなるでしょう。

一方、裏側矯正では舌側で唾液が循環しやすく、食べかすの除去にも役立ちます。口の中に備わった自然な清掃作用を活かしやすいのです。

舌の動きが唾液循環を促進する

裏側矯正の隠れたメリットとして、舌が自然な清掃の役割を果たしていることが挙げられます。私たちは1日中絶えず舌を動かしており、これにより装置周りの唾液循環が促進され、口の中全体にも行き渡りやすくなります。

プラークや食べかすの除去には丁寧なケアが不可欠ですが、会話したり食べたりする度に舌が装置に触れ、唾液の流れが促進されることは、表側矯正では得られにくい大きなアドバンテージです。

表側矯正との虫歯リスクを比較する

多くの方が「表側矯正は歯磨きしやすい!だから虫歯を予防しやすいでしょ?」と思われるかもしれません。確かに表側矯正は装置が見やすいという利点があります。

しかし、総合的に判断すると、裏側矯正のほうが虫歯リスクの面で優位であると考えます。ここまでの解説の通り、単に歯磨きのしやすさだけでは測れない、口の中の環境要因が大きく関係しているからです。

【表側矯正で虫歯リスクが高くなる要因】

  • 唾液の循環不足で自浄作用が働きにくい
  • 食べかすが装置に付着しやすく全ての除去が難しい
  • 口が閉じにくく装置周りの乾燥で細菌が繁殖しやすい

※個人差があります。

【裏側矯正で虫歯リスクが低くなる要因】

  • 唾液に包まれやすく自浄作用が働きやすい
  • 舌の動きにより唾液循環が促進されやすい
  • 細菌が繁殖しにくい湿潤環境が保たれやすい

※個人差があります。

また、複数の専門医院の報告によると、裏側矯正を受けた患者さんの虫歯発生率は、表側矯正の約1/5程度という参考情報があります。この違いには、やはり唾液の循環量が関係していると考えられます。

具体的には、上顎前歯部の唇側面(表側)は「0.8 mm/分」であるのに対し、下顎前歯部の舌側面(裏側)は「7.8 mm/分」と、実に10倍近い速さで唾液が流れている比較データがあります。この差が虫歯リスクの違いにつながっていると考えます。

唾液の流れが速いほど、自浄作用や再石灰化の効果がより期待できるため、裏側矯正は虫歯リスクの面でも有利な環境が整いやすいでしょう。

当院では、これらの要因も含めて裏側矯正を専門に提供しています。治療中の見た目の配慮だけでなく、比較的虫歯になりにくい傾向は大きなメリットの1つです。

もちろん、裏側矯正であっても適切なケアは必要です。しかし、虫歯になりにくい環境で治療を進められることは、矯正中の不安を軽減する一因となるでしょう。

裏側矯正中の虫歯リスクを減らす工夫5つ

裏側矯正中の虫歯リスクを減らす工夫

裏側矯正は虫歯になりにくいとはいえ、より安心して治療を進めるためには日々のケアが欠かせません。

ここでは、矯正中の虫歯リスクを減らす工夫を5つご紹介します。これらを実践することで、治療を進めながらも健康な歯の維持が期待できるでしょう。

矯正専用の歯ブラシで装置周りを丁寧に磨く

一般的な歯ブラシだけでは磨き残しが生じる場合があります。装置の形状に合わせた専用の清掃器具を使い分けることが大切です。

参考に、各清掃器具の使用目的は以下の通りです。

清掃器具使用目的
矯正用歯ブラシ装置周りの清掃
タフトブラシ細かな隙間の清掃
歯間ブラシワイヤー下の清掃
フロス歯と歯の間の清掃

歯磨きのタイミングとして、食後はできるだけ早めに歯磨きを行うことが大事です。食後は口腔内が酸性に傾くため、プラークの増殖を抑えて虫歯予防を図るためにも速やかな歯磨きを習慣化しましょう。

外出先でも携帯用ブラシで清掃することを心がけてみて下さい。特に就寝前は唾液分泌が減少し細菌が繁殖しやすくなるため、丁寧に時間をかけて磨くことが大切です。

また、フッ素配合の歯磨き粉を使用することで、エナメル質の再石灰化を促進し、虫歯予防に役立ちます。フッ素濃度1450ppmの歯磨き粉は日本で市販される高濃度のもので、私もおすすめしています。

※エナメル質の再石灰化とは、酸によって溶け出した歯の表面(エナメル質)のミネラル成分が、唾液中のカルシウムやリン酸によって再び補充されて修復される自然な回復プロセスのこと。

矯正中の正しい歯磨き方法について詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。

洗口液(マウスウォッシュ)で細菌を減らす

歯磨きだけでは除去しきれない細菌に対して、洗口液は補助的な役割を果たします。矯正治療中は、装置の複雑な形状により磨き残しが生じやすいため、洗口液の活用が効果的です。

洗口液の基本的な選び方と使用法は、以下を参考にしてみて下さい。

  • フッ素配合で虫歯予防に適したものを選ぶ(歯質強化と再石灰化促進のため)
  • アルコール系の刺激が気になる場合はノンアルコール系を選ぶ(継続使用しやすくするため)
  • 歯磨き後に30秒間しっかりとすすぐ(細菌をより除去するため)
  • 就寝前の使用で夜間の細菌繁殖を抑制する(唾液分泌が減る夜間対策)

※詳しい使用法は各洗口液の取扱説明書を確認して下さい。

患者さんからは「マウスウォッシュを始めてから口の中がすっきりします」といった声をよく聞きます。継続的な使用により、口腔内環境の改善が期待できるでしょう。

こまめな水分補給で口の中の乾燥を防ぐ

口の中の乾燥は細菌の繁殖を促進し、虫歯リスクを高める要因の1つです。矯正中は、装置により唾液の流れが変化することもあるため、意識的な水分補給が大切になります。

効果的な水分補給のコツを以下に記載しておきます。

  • 一度に大量ではなく、少量ずつこまめに飲む(口の中を常に潤すため)
  • 糖分を含まない水や無糖のお茶を選ぶ(虫歯菌の栄養源を与えないため)
  • 起床時と就寝前は特に意識的に水分摂取する(唾液が少ない時間帯の対策)

口の中が潤っていれば、唾液の自浄作用が働きやすくなります。特に冬場やエアコンの効いた室内では、より意識して水分補給を心がけましょう。

間食の回数を減らして歯の負担を軽くする

頻繁な間食は口の中のpHバランスを乱し、虫歯菌が活動しやすい環境を作り出します。間食の回数をコントロールすることで、歯への負担を軽減することができます。

矯正中に推奨したい食事パターンは以下の通りです。

  • 3回の食事を規則正しく摂る(口の中のpHが安定しやすいため)
  • 間食はしないor1日1回程度に抑える(酸性環境になる時間を短くするため)
  • 食事と食事の間は時間を空ける(唾液による中和時間を確保するため)
  • 就寝2時間前までに飲食を済ませる(就寝中の細菌繁殖を抑えるため)

どうしても間食が我慢できない場合は、チーズやヨーグルト、低糖質や無糖のゼリーなど糖分の少ない食品を選びましょう。

裏側矯正を始めたばかりの方や検討中の方にとって、「何が食べられるのか」「食事の際に気をつけることはあるのか」といった不安は大きいものです。

間食を含めた矯正中の食事について心配な方は、下記の記事もあわせてご覧ください。

口呼吸の習慣をなくして鼻呼吸を徹底する

口呼吸は口の中を乾燥させ、唾液による自浄作用を妨げます。裏側矯正のメリットを活かすためにも、鼻呼吸の習慣を身につけることが大切です。

矯正中の患者さんには直接の指導を行いますが、鼻呼吸を身につけるためには以下のポイントも有用です。

  • 意識的に口を閉じる時間を増やす(口の中の乾燥を防ぐため)
  • 睡眠時は口にテープを貼る方法もある(無意識の口呼吸を防止するため)
  • ヨガや深呼吸で鼻呼吸を練習する(正しい呼吸法を身につけるため)
  • 鼻づまりがある場合は耳鼻科に相談する(鼻呼吸の障害を除去するため)

※口にテープを貼る方法は鼻づまりがある場合は避けること

口呼吸から鼻呼吸への改善は、虫歯予防だけでなく歯並びの安定にも良い影響をもたらします。舌が上あごの正しい位置に保たれ、歯を内側から支える力が働くため、矯正で整えた歯列が後戻りしにくくなります。

当院では、筋機能療法(MFT)の指導にも力を入れており、多くの患者さんが口呼吸から鼻呼吸への改善を実感されています。

※筋機能療法(MFT)とは、舌や唇、頬などお口周りの筋肉の正しい動きを訓練することで、歯並びや噛み合わせの改善を目指すトレーニング法のこと。

歯列矯正の効果をさらに高めたい方は、この筋機能療法(MFT)についても詳しく知っておきましょう。この機会に学ぶなら下記の記事が参考になります。

以上5つの工夫を日常生活に取り入れることで、裏側矯正中の虫歯リスクの抑制が期待できます。毎日の小さな積み重ねが、良好な矯正治療の結果につながるでしょう。

もし裏側矯正中に虫歯ができてしまったら?

裏側矯正中に虫歯

まず「担当の矯正歯科医に連絡して指示を仰ぐこと」が最も重要です。自己判断で放置したり、一般歯科で勝手に治療を受けたりすることは避けてください。

裏側矯正に限らず、矯正治療中の虫歯は装置の取り外しや治療方針の変更が必要な場合があるため、専門的な判断が欠かせません。私が25年以上の経験で学んできたことは、早期発見・早期対応が特に大切になるということです。

虫歯の程度に応じた治療方針を確認する

虫歯が発見された場合、その大きさや位置によって治療方針が決まります。個人差はありますが、おおよその対応目安は以下の通りです。

虫歯の状態対応方法
初期の虫歯(穴が開いていない状態)経過観察しながら矯正継続を検討する
軽度の虫歯(小さな穴が開いた状態)歯科医師の判断により、経過観察または治療後に矯正継続を検討する
中等度以上の虫歯(明らかな穴や痛みがある状態)虫歯治療を優先し、完了後に矯正再開を検討する

※対応方法は医院により異なります。

多くの医院では、初期の虫歯であれば矯正治療を続けながら経過観察することが一般的です。生活習慣の改善などにより、虫歯の進行を抑制できる場合があるからです。

一方、装置に影響を与えるほど大きな虫歯の場合は、一旦矯正治療を中断して虫歯治療を優先します。「早く歯並びを治したい…」という気持ちもわかりますが、健康な歯があってこその美しい歯並びです。

くれぐれも、裏側矯正の成功は歯科医院選びが重要な鍵となります。失敗しないポイントについて詳しく知りたい方は、下記の記事もぜひご覧ください。

まとめ:虫歯になりにくい裏側矯正で治療に集中

虫歯になりにくい裏側矯正

「裏側矯正を考えているけど、虫歯になるのが怖い…」そんな不安を抱えていた方も、この記事を読んで安心し、治療への一歩を踏み出しやすくなったのではないでしょうか。

多くの方が想像している「見えにくい装置は歯磨きが大変そう…」という心配とは反対に、歯の裏側は表側よりも唾液の循環が良好で、その自浄作用により食べかすや細菌を洗い流しやすいメリットが期待できます。

私が長く診てきた中でも、個人差があるとはいえ、虫歯トラブルは起こりにくい傾向です。

最後になりますが、美しい歯並びを目指す過程で虫歯の心配を軽減できるよう、私たち裏側矯正専門の「セレーノ矯正歯科」がしっかりとサポートします。

初回カウンセリングから治療完了まで、裏側矯正の具体的な治療手順について詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。

あなたの矯正治療が良い結果につながり、素敵な笑顔を手に入れられることを願っています。そして、鏡を見る度に感じていた歯並びへの不安が、やがて自信へと変わる、その瞬間を心から応援しています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

執筆・編集:竹田 彰

大宮の裏側矯正専門セレーノ矯正歯科の院長、竹田です。25年以上にわたって裏側矯正を専門に治療してきました。歯並びを整えることはもちろんですが、それ以上に、顔全体のバランスを美しく保ちながら、自然な笑顔を引き出すことを信念にしています。

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大宮の裏側矯正専門セレーノ矯正歯科は、口ごぼ、出っ歯、すきっ歯など歯並びでお悩みの方のための目立たない歯列矯正を行っています。歯並びや噛み合わせだけではなく、健康的で美しい笑顔を目指しています。すべての調整はキャリア25年以上の院長が担当しますので、ご安心ください。歯を見せて思い切り笑顔になれる人生を選択しませんか?